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WWW 哲学の劇場内
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はじめに

ようこそ、哲学の劇場へ。

このサイトは、哲学・科学・芸術を中心とした作品や作家の情報、あるいはそうした作品にかんするメモランダムの集積を目的に1997年に開設されました。

屋号やURLはなにやら立派ですが、なんのことはない、編者たち八雲出+吉川浩満がここで目指したいと思っているのは作品と出合う場所をつくることです。そんなことを言っても、情報通信環境が整い普及して以来、膨大な「情報」が流通しています。だから作品に出合うのはとても簡単なことにも思えます。

たしかにネット書店や図書館その他のデータベースを検索すれば、たちどころに作品のリストが得られます。それはとても便利で私たちもよく利用します。しかし他方で、私たちがある問いなり関心を抱いているとき、そうしたデータベースが言葉の形式的な関連からつくりあげるリストでは足りない場合がままあります(言うまでもなくそれもまた重要な手がかりです)。作品と作品のあいだには、作品名や作家名といった表面的な言葉の関連だけでは見出せないさまざまな線が走っています。ある問いを抱いたときにはじめて見える線もあれば、作品をめぐる背景を見たときに浮かび上がってくる(系譜的な)線もあるでしょう。そうした、いわば作品同士が織り成す星座を見いだすということは、いまのところ機械的によく処理できることではありません。

もちろん機械的なデータベースが形式的に生成する作品リストの便利さと、意味や文脈を考慮にいれて作られた作品リストの便利さ、これはどちらがよい悪いという問題ではありません。どちらもそれぞれ別の形で思索や創作に資するはずです。

よく練られたブックガイドやディスクガイドにそうした星座の見方を教えられる愉しみは、なかなかほかに換えられないものがあります。編者たちがここで作りたいと思ったのは、そんな作品ガイド集でした。さまざまな作品に触れながら、そうした作品が相互に関係しあうさまを可視化して、ある作品をそうした星座との関係からも多重に位置づけてみること。簡単に言えば、そんな作品受容のためのツールとなるようなサイトを自分たちの便宜のために作ろうと思い立ってはじめたのがこの「哲学の劇場」というウェブサイトなのでした。

といっても、もとよりモノグサが形をとって歩いているような編者たちです。大風呂敷ばかり広げておいて、肝心の中味の更新といえば、締め忘れた蛇口からときおり思い出したように滴が落ちるといったテイタラク。ときおり「完成の暁には使えるものになるだろう」だなンて、微妙なコメントを頂戴したりもする当劇場ですが、そうこうするうちに編者以外にもこの場所をご利用くださる読者の皆さんに恵まれまれて潰れもせずにいまにいたっています。

2004年には当劇場に掲載した吉川のエッセイを目にとめてくださった朝日出版社の赤井茂樹さんからのお声かけで『心脳問題――「脳の世紀」を生き抜く』(朝日出版社、2004/06)を江湖に送らせていただくことにもなりました。同書の巻末にはかなりのヴォリュームで「心脳問題」――心と脳の関係はどうなっているかという哲学・科学上の難問――にまつわる「作品ガイド」、つまりその問題を考えるさいに有益と思われる作品を読みどころのコメントつきで掲載した文章を付録としてつけましたが、これなどは当劇場創設の意向を書物の形であらわしたものだと言ってよいでしょう。

2007年には開設から10年が経つことになりますが、10周年を前にあらためてサイト全体を見直し、ここで述べてきた目的によりいっそう適う道具に(も)なるよう、リニューアルする次第です。この機に、いままでここがどんなサイトなのかといった前口上も置かずに来たことを(ちょっぴり)反省してこんな駄文をいまさらながらしたためている次第です。

今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。

2006年03月20日(月)
哲学の劇場 主宰・編集人
八雲出+吉川浩満




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