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| ディヴィッド・ヒューム 『人性論』 |
| 書 名 | 『人性論』 | A Treatise of Human Nature | ![]() |
| 著 者 | ディヴィッド・ヒューム | David Hume | |
| 訳 者 | 大槻春彦 | ||
| 叢書名 | 岩波文庫青619-1,2,3,4(4分冊) | Great Books in Philosophy | |
| 出版社 | 岩波書店 | Prometheus Books | |
| 頁 数 | 各338, 199, 318, 392頁 | 658 pages | |
| 定 価 | 計2349円(本体) | $9.95 (US) | |
| 発 行 | 1948-1952年 | 1992(原典は、1739-1740) | |
| ISBN | 4-00-336191-1 | 0-87975-743-4 |
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デイヴィッド・ヒューム(David Hume, 1711-1776)の主著。1735年(著者24歳)頃、滞在先のラ・フレーシュで執筆ののち、1739-40年にロンドンで出版。全体は3つの部分から成る。第1篇「知性について」(of the understanding)、第2篇「情緒について」(of the passion)の2篇は1739年に、つづく第3篇「道徳について」(of morals)は、翌年1740年にそれぞれ出版された。
本書におけるヒュームのねらいは、人間の本性(Human Nature、人性、人間本性とも)を探求することだ。なぜ人間の本性を研究するのか。彼は諸学が、そのなによりの土台であるはずの人間についての知識を欠いたまま、しかしその前提の上に学問を積み上げてゆくさまに、砂上の楼閣の危うさを見てとった。つまり、人間の本性を研究することによって、諸学をも基礎づけようというのである。ここでヒュームが人間の本性と言うのは、主に人間の精神の働きのことを指している。 ヒュームは人間の本性を探究する方法として、ニュートン流の自然科学のやり方を用いる(ただし、ヒュームはまた、自然科学と人間の本性の学との差異に自覚的でもあった)。つまり、経験(実験)にもとづいて原理をつくり、経験(実験)による検証をつうじてこれをより確かなものへと鍛え上げてゆく、という方法である。これは、言葉の上でのみ言える、あるいは想像のうちでのみ言えるような雄弁的な諸説に対抗するための武器である。雄弁を弄して都合によって白を黒といい、黒を白といいくるめるソフィスト的な言説に対して戦った(プラトンの伝える)ソクラテスを思い出そう。両者に通じるのは、言葉で現象をとらえる(説明する)ことに対する禁欲的な態度である。ソクラテスは「無知の知」といい、ニュートンは「われ仮説をつくらず」と言った(この場合の「仮説」とは、現象に基づかない説の謂いである)。ヒュームが保持するのも、まさにこのような態度であって、ヒュームの経験主義とは(もしそれを「経験主語」と呼ぶならば、だが)、このような文脈でうけとられなければならない。そうだとすればひとはなおもこの経験主義に対して「乗り越える/乗り越えない」といった接し方ができるだろうか。 『人性論』の論述は、一個の人間(人間一般)の精神の働き(第1篇)から、面前しうる他者をも含む精神の働き(第2篇)をつうじて、まったくの他者をも含む人間の関係、つまり社会における精神の働き(第3篇)へと進められる。「第1篇及び第2篇に対する緒言」によれば、以上のほかに「政治論」「文芸批評」がそれぞれ検討され、これをもって『人性論』のプログラムが完成する予定であった。だが、世評が芳しくなかったためにヒュームは第3篇で『人性論』を断念し、後年もこれを「印刷機から死んで生まれおち」たと評することになる。とはいえ書かれた3篇は、いずれも前述した企図、方針につらぬかれて、数々の独創を提出している。 その目的、方法、探究を見れば明かなように、ヒュームの経験論とは、ヘーゲルが『哲学史講義』において断罪するような破壊的懐疑論ではない。読み手もまた、単なる推断を排して、ヒュームのテキストへ向かいあわなければならない。(八雲出) |
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なお、『人性論』には比較的入手しやすいものとしてつぎのようなテキストもある。
・『世界の名著32 ロック・ヒューム』(大槻春彦責任編集、中央公論社、1980) ・A Treatise of Human Nature, David Hume (Ernest C. Mossner(Ed.), Penguin Books, 1986) ただし、『世界の名著』所収の『人性論』(土岐邦夫訳)は、抄訳。 |
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・Hume Archives――Green+Grose版(1886年)の『人性論』第1篇と第2篇冒頭の電子テキスト(英語)。
・ジル・ドゥルーズ『ヒュームあるいは人間的自然――経験論と主体性』書評――当劇場内書評。 |
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