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| 池田清彦『さよならダーウィニズム』 |
| 書 名 | 『さよならダーウィニズム』 |
| 著 者 | 池田清彦 |
| 叢 書 | 講談社選書メチエ120 |
| 出版社 | 講談社 |
| 頁 数 | 242頁 |
| 定 価 | 1553円(本体) |
| 発 行 | 1997年12月10日 |
| ISBN | 4-06-258120-5 |
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本書で池田清彦氏が告げる別れのあいさつは、もっぱら<ネオ>ダーウィニズムに向けられたものだ。池田氏がネオダーウィニズムを論難するのはこれがはじめてのことではない。
本書は、主に 1.ネオ・ダーウィニズム批判、2.進化論の歴史、3.構造主義生物学の紹介、という内容から成っている。 池田氏によれば、ネオダーウィニズムとはダーウィンによる自然選択説とメンデルの遺伝学説との融合によって20世紀なかばに生まれた学説であり、以来現在まで進化論の主流を占めている。この学説では進化を、突然変異をおこした遺伝子が自然選択をつうじてある生物の集団にひろがっていくこと、つまり進化を遺伝子という実体に還元して説明する。リチャード・ドーキンスによる啓蒙書『利己的な遺伝子』が話題になって以来、「××は遺伝子のせいだ」式(××には例えば、「男が浮気をするのは」などのフレーズがはいる)のトンデモ本が書店の少なからぬ棚を埋めている。管見によれば「そんな馬鹿な!」という内容のものが多いようであるが、こうした主張が主な温床としているのはこのネオダーウィニズムの仮説である(もっとも無手勝流に都合よく利用されてしまうネオダーウィニズムも気の毒ではあるが)。余談はともかく――ここで前提とされていることは、進化の主因が自然選択であること、突然変異は偶然に起こること、変異が遺伝子からはじまることなどであるが、池田氏はそれぞれに対して反証をあげる。 では、構造主義生物学ではどのようなアプローチをとるのか。大雑把に言えば、生物の変異それ自体は恣意的に起こるがその生物が変異前に持っていた構造とその生物がおかれた環境が拘束条件となりその変異を拘束する、同様に変異後にできた構造はつぎの現象の拘束条件となる、という関係論をとる。留意すべきことは、ネオダーウィニズムの理論にしても構造主義生物学にしてもそれがいまのところ仮説でしかないということだ。 さて、部外者としてはネオダーウィニズム論者による構造主義生物学への反論をぜひとものぞむ(というか池田氏の指摘に対してどのように説明するのかをききたい)ところであるが、池田氏の口振りから察するにいまのところそのような対話は行われていないようだ。それは、生物学というよりは生物学界という制度に属する問題なのだろうが、著者が自ら一人の生物学者(科学者)でありながら科学あるいは科学界批判を展開する理由の一半はそこにあように思われるのだ。 本書によって、読者は池田氏が諸著書において展開してきた主張のエッセンスを概観することができる。また、ここでは触れなかったが冒頭に 2.として掲げた「進化論の歴史」は、それだけでもおもしろい読み物となっている。もしあなたが生物学をきらいになりかけている中高生なら(すでに嫌いになってしまった大人でもよいが)、迷わず読んでほしい。もちろんダーウィニズムのポイントをつかみたい、あるいは構造主義生物学の考え方に触れてみたいという向きにも本書を読まれることをお薦めする。(八雲出) |
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