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柄谷行人『マルクスその可能性の中心』


■書誌■

書 名  『マルクスその可能性の中心』 
著 者  柄谷行人 
叢 書  講談社学術文庫 
出版社  講談社 
頁 数  文庫判256頁 
定 価  699円(本体) 
発 行  1990年07月10日(初出1978年) 
ISBN  4-06-158931-8 


■書評■

本書で柄谷が試みたのは、価値形態論において「まだ思惟されていないもの」の核心を提示することであった。価値形態論が明らかにしたのは、1.(剰余)価値は異なるシステム間の交通からのみ生まれるということ、2.そうやって成立した価値はその起源を隠蔽する、ということである。だから古典経済学がどれだけ厳密な分析を行おうとも、それができあがった価値体系を自明な前提としている限りは、いつも原因と結果をとりちがえてしまうのである。ここでマルクスがとっているのはニーチェ的な視点である。古典経済学はすでにできあがった価値体系における貨幣量でもって、商品とある商品が等価あるいは非等価であるという。しかしマルクスは、そもそも等価であるということはどういうことなのかという根本的な問いから出発するのである。古典経済学が陥っている誤謬は貨幣の形而上学といえるが、一般に形而上学とはすでに生成したものを生成したあとから合理化することに他ならない。だからマルクスによる貨幣の形而上学への批判は、一切の形而上学への批判と化すのである。(吉田浩)




■リンク■

・ROUTE#010「マルクス論を読み返す」−当劇場内の書評ROUTE。





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