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永井均『ルサンチマンの哲学』


■書誌■

書 名  『ルサンチマンの哲学』  書影
著 者  永井均 
出版社  河出書房新社 
頁 数  四六判151頁 
定 価  1300円(本体) 
発 行  1997年05月23日 
ISBN  4-309-24189-1 


■書評■

ニーチェの「哲学的原理」など何ほどのものでもない、道徳の批判者ニーチェこそが重要なのだ。そう本書は断言する。ルサンチマンが創造したキリスト教道徳はいまや「見えないヨーロッパ」(61頁)となって全世界を覆うこととなった。この道徳主義的世界解釈がわれわれの眼に見えないのは、それが圧倒的勝利をおさめ、既に規範と化したからである。そしてこの問題を洞察するためには、どうしてもニーチェ的視点が必要なのだ。これが本書のモチーフである。ルサンチマンは克服されるものではなく忘却によってのみ無化されること、道徳的観点を最優先する原理を拒絶する修辞疑問「よく生きることヤテ、そらナンボのもんや?」にたいしては道徳の側から反駁できる何ものもないことを提示してみせる本書は、道徳主義的世界解釈が規範となった現状にたいする、ささやかな抵抗の試みである。(吉田浩)


■リンク■

・ROUTE#004「道徳の系譜学」−当劇場内の書評ROUTE。
永井均<子ども>のための哲学(講談社現代新書、講談社、1996)−当劇場内書評。



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