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メールマガジン「哲学の劇場」Vol.001(1997/09/11)
■サイト更新状況 (11/01〜 )
■クズテツ 【雑文集】
★「意外と長い」(吉田浩)
なんてことはない雑文です(いつものことですが)。中高生の頃はスティーヴン・キングをよく読みました。最近『グリーン・マイル』(全6分冊、新潮文庫、新潮社、1997、Amazon.co.jp)を読んだのですが、これもなかなかおもしろい。が、キングの刑務所モノなら断然「刑務所のリタ・ヘイワース」(『ゴールデン・ボーイ』所載、新潮文庫)が好きです。話はまるで違いますが。
■Geo-Philosophical Map 【批評集】
★増谷文雄『釈尊のさとり』(講談社学術文庫344、講談社、1979/02、Amazon.co.jp)
いま「宗教再入門」と題して基礎的な概説書を読んでいます。それにしても井筒俊彦『イスラーム生誕』(中公文庫、中央公論社、1990/08、Amazon.co.jp)はおもしろかったなあ。で本書ですが、これは「ブッダのさとりとはその実、何であったか」ということを述べた本であります。読めば「ふ〜ん」ってなことを増谷さんは「ン十年かかって見出した」とおっしゃる。「???」だが、そこが仏教のおもしろさであり、またつまんなさでもあるのかなあ、などと無責任なことを感じている今日この頃でございます。
★矢代梓『啓蒙のイロニー』(ポイエーシス叢書38、未來社、1997/07、Amazon.co.jp)
「青騎士」氏よりリクエストのあった本書ですが、さあ読んで書こうと思っていたら相棒に先を越されてしまいました(笑)。でも内心ちょっとホッとしています。私はハーバーマスをほとんど読んだことないですから。とはいえ本書の性格からして、ハーバーマスを読んでいなくても楽しめる内容なのでしょうな。八雲出の紹介文をぜひ読んでください。それにしてもこの著者、ミステリ作家のような名前だなあ。
★ジャン=フランソワ・ルヴェル『無益にして不確実なるデカルト』(ポイエーシス叢書08、未來社、1991/01、Amazon.co.jp)
出た、八雲出の「思い出し書評」(笑)。実は私も学生時代に本書を読んだことがあります。が、な〜んにも覚えていない。そういえば確かに八雲出が苦言を呈しているように、デカルト批判のためのデカルト批判書みたいな印象だったなあ。あの頃(1991年頃)はまだ「ポスト構造主義」がにぎわっていて、また機械論的自然観の超克みたいなこともさかんに言われていた(いまもか?)から、反デカルトっていう旗印はほとんど空気のようなものだったんじゃないかなあ。もちろん現代思想出版業界の間でだけだろうけど。後者の意味での反デカルトといえば、モリス・バーマン『デカルトからベイトソンへ』(国文社)もあった。が、これはこれで60年代スピリッツ旺盛の好著だったと思う。ユング、ポランニー(マイケル)、レイン、ベイトソン(グレゴリー)が見事に一本の線で繋がっていたような気がする。
(原書:Jean-Francois Revel, Descartes inutile et incertain, 1976)
■刮目せよ新刊 【情報】
★土屋賢二『われ笑う、ゆえにわれあり』(文春文庫、文藝春秋社、1997/11、Amazon.co.jp)
私はこの人、結構好きです。他の本だったと思うけれど、著者略歴に「なお、著者は違うが『ソフィーの世界』はベストセラーになった」とあるのを読み、いっぺんで気に入ってしまった(笑)。他愛ないのだが、お笑いは論理だということがよくわかる。哲学ジョーク本としては加藤尚武『ジョーク哲学史』(河出文庫、河出書房新社、1988/09、Amazon.co.jp)も有名だが、これは各々の哲学者のアネクドートはおもしろいのだけれど、最後に付け加えられる加藤さんオリジナルのジョークが「???」、つまりおもしろくない。
(原書:文藝春秋社、1994/11)
★エドムント・フッサール『受動的綜合の分析』(田村京子+山口一郎訳、アウロラ叢書、国文社、1997/11、Amazon.co.jp)
出た、フッサール先生。だが、申し訳ない。本書について私は何も知りません。田島節夫『フッサール』(講談社学術文庫、講談社、1996/03、Amazon.co.jp)を開いてみると、どうも『イデーン』第1巻刊行と同時期の講義のよう。ところで、たぶん日本では「フッサーリアーナ」は出ないのでしょうなあ。いや、英訳でも出るわけないと思う。
(原書:Edmund Husserl, Analysen zur passiven Synthesis)
★真木悠介『時間の比較社会学』(岩波同時代ライブラリー325、岩波書店、1997/11、現在品切れ)
こりゃいい。しかし、わざわざ版形を変えていま頃よく再版したな。私はこの人も結構好きだ。ときどき「お前は私小説作家か!」と突っ込みをいれたくなるようなおセンチさがひょっと顔を出しますな。私はそういうところは嫌ではないし、それがこの人の原動力なのかもしれませぬ。
(原書:岩波書店、1982/01、Amazon.co.jp)
■雑談
林真理子『不機嫌な果実』(文藝春秋)を読みました。別に出来の悪い作品だとは思わなかったです。楽しめたから。なにせ作品全体がたいへん滑稽。倦怠にとらわれた人妻・麻也子、決め手のセリフは「夫以外の男とのセックスは、どうしてこんなに楽しいのだろうか?」(笑)。そしてこんなに楽しい思いをしているのに、いつも最後には「自分ばかりが損をしている」(笑)。「テレクラなんかを使う女は、きっと教養のない女なんだわ」という内的独白とか、「僕は安いワインしか飲まないんだけど」という男の言葉に感動してしまったりとか。しかし倦怠にとらわれた全国数百万の人妻・麻也子さんはきっと、不倫のことなどつゆ知らずだらしなく眠る夫に向かって、今夜もつぶやいていることでしょう。「その気持ちがわからないから夫は『夫』なのよ」と。
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