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Vol.002

メールマガジン「哲学の激情」Vol.2 (11/14/1997)

■「哲学の激情」は八雲出と吉田浩がお送りするメールマガジンです。
■不定期配信です。いつ来るかわからないので気を付けてくださいね。
■ご希望、ご感想、文句などドシドシお寄せください。
■今回は八雲出がお届けします。

■サイト更新状況 (11/07〜 )

Geo-Philosophical Map 【批評集】

★テリー・イーグルトン批評の機能(大橋洋一訳、紀伊国屋書店、1988/02、Amazon.co.jp

T.イーグルトン『批評の機能』みなさんはテリー・イーグルトンの写真を見たことがありますか?『キャンディ・キャンディ』に登場してもおかしくなさそうな顔をした、そう、あのハンチングベレーの写真です。なにかこう、親しみの持てる顔だとは思いませんか? 残念ながら『批評の機能』には写真がついていません。小生は、本に刷り込まれている著者近影を見るのがすきです。顔が見えると本にも親しみがわく、といいましょうか(そういうわけで当ページでも作者二名の顔を掲載しています)。内容と関係のないこと書いてますね、わたし。ちなみに大橋洋一氏の訳もすきです。
(原書:Terry Eagleton, THE FUNCTION OF CRITICISM: From the Spectator to Post-Structuralism, Verso, 1984)


柄谷行人マルクスその可能性の中心講談社学術文庫、講談社、1988/02、Amazon.co.jp

柄谷行人『マルクスその可能性の中心』小生は、柄谷行人のハードボイルドな文体がすきです(のっけからすきなものの話しばかりで恐縮ですが)。『マルクスその可能性の中心』を読んでいるとしばしば、自分がチャンドラーの『長いお別れ』を読んでいるのか柄谷行人を読んでいるのかわからなくなることがあります。そのくらい柄谷行人の文体がすきです。氏は碁がお上手なそうですね。後知恵であることを悪びれずに言えば、『マルクスその可能性の中心』は囲碁が上手なひとが書く文体で書かれた見事な例だと思います。根本的に考えるということを日本語で実行するとどうなるか、というひとつの成果だと思います。
(原書:講談社、1978)


★増谷文雄+梅原猛智恵と慈悲〈ブッダ〉(仏教の思想1、角川文庫、角川書店、1996/06、Amazon.co.jp

をを! とうとうシリーズものに手をつけてしまった吉田浩! 全12巻におよぶこの作品群をどうしようというのか(どうするとも言っていないですが)。相棒ごとながら心配する小生であります。なお、この文章は吉田浩本人の了承を得ず作成しています。シリーズ全巻がレビューの対象になっているかは現在のところ不明ですが、ご希望のかたは、吉田浩まで「全巻書評希望」とお書きのうえご投函ください(笑)。


★竹田青嗣現象学入門(NHKブックス、日本放送出版協会、1989/06、Amazon.co.jp

竹田青嗣『現象学入門』「わかるから元気が出る」((C)筑摩書房)竹田青嗣の現象学入門です。吉田浩が書いているように、(フッサール)現象学の理解という点では若干の疑問が残るものの、それを差し引いてもなお現象学の発想のエッセンスが凝縮された良書なのではないかと思います。この書評では、その良書をさらに二つのポイントに濃縮還元。これを手にとって竹田青嗣の本へ進めばますます元気になること請け合いです。これから現象学のあなたに、ぜひ(もちろん、フッサールに疲れた貴方の肩凝りにもよく効きます)。


★ROUTE#010「マルクス論を読み返す」(吉田浩)

GP Book Mapに、新ROUTEの登場です。これは、タイトルの示すようにマルクス論を読み直すための企画で、ルイ・アルチュセールと廣松渉の書評を中心に構成してゆきます。読み返すだけでなく、これから読み始めるという読者にも役立つROUTEにしてゆきたいと思います。乞うご期待。


マルティン・ハイデガー世界像の時代(吉田浩)

吉田浩がお送りする、ハイデガー・シリーズ第2弾です(第1弾は、「ヒューマニズム」について)。師のフッサールをさしおいて、全集が日本語訳されつつあるハイデガーですが、この二冊は全集へとりかかる前のよいウォーミング・アップになるのではないでしょうか。ペリー・ローダンかハイデガー全集か(笑)という膨大な量をほこる哲学に迫るには、どれだけウォーミング・アップをしてもしすぎるということはないかもしれません(どっちなのだ?)。もっともウォーミング・アップでグロッキーということも充分に考えられますので、いずれにしても注意が必要です(笑)。


★ひろさちや仏教と神道――どう違うか50のQ&A(吉田浩)

ROUTE#009「宗教再入門」のもとに宗教入門書をまとめて読んでいます。仏教と神道は「どう違うか」。必要なときに必要なだけ(内外を問わず)宗教を利用する「あいまいな日本のわたし」としては、せめてその違いを知っておくことが肝要なのではないでしょうか。「どこが同じか」や「ほとんど同じや」などひとそれぞれの一過言があるかとは思いますが、そういった質問・疑念を真っ正面からうけとめる、堂々とした書物です。


中沢新一宗教入門(吉田浩)

吉田浩がお送りする、中沢新一シリーズ第2弾です(第1弾は、はじまりのレーニン)。キリスト教のダイナミズムは、(中略)宗教としての不安定さにある。宗教の(にかぎりませんが)教義や解釈が言語によって表現されるとき言語は伝達可能性とひきかえに論理的な可能性に対して不可避的にひらかれてしまう。そこにダイナミズムの源泉がある・・・…。おもしろいですね。こういうテイストは小生も愛好するところであります。つづきはぜひ、書評でどうぞ。


★エマニュエル・レヴィナス時間と他者(八雲出)

講義録や講演の記録を読むとき、小生はきまって聴衆のことを想像します。集まったひとたちは、いったいぜんたいどんな顔をしてこの話を聴いていたのか? 講演者がなにを言っているのかわからなくなるほど懸命にノートをとったり(本末転倒という)、「わかんねーぞ」と野次をとばしたり、机に落書きをしたり、正体もなく眠ったりしたものでしょうか。そうするとレヴィナスといえどもやはり、「そこのXXくん!起きないとチョークを投げます」とか眠っている人間に名前を呼びかけたりしたものでしょうか。そういう想像はやはり、いしいひさいち氏の絵でするものでしょうか。



思想年代記【年表】

新企画、「思想年代記」を試験的にアップしてみました。とりあえずは、本メールレター購読のみなさまだけに、こっそりお教えします。これは、過去2500年の哲学の歴史に名を残してきた数々の哲学思想書を近くは1997年まで(笑)刊行年代順にならべるものです。もちろん、GP Book Map に書評が存在する書物については、この年代記から書評へリンクしてゆきます。また、「哲学の劇場」の随所から書物史的なコンテクストを参照できるよう、リンクをはりめぐらせてゆく予定です。まだ作成を開始したばかりで登録点数は少なく、偏っていますが、ご覧いただいた上、ご意見・ご要望などお聞かせいただければうれしく思います。



■刮目せよ新刊

★廣川洋一『ソクラテス以前の哲学者』(講談社学術文庫)

講談社学術文庫もはや1300冊を数える一大文庫となりました。近頃は、同社の「人類の知的遺産」シリーズがぽちぽちと同文庫にて文庫化されつつあり、つぎは誰かな?つぎは彼かな?とつまらないことを想像してたのしんでいる小生です。ときおり思いもかけない書物がはいってぼくたちを喜ばせてくれる学術文庫ですが、今月の新刊にもありました。廣川洋一『ソクラテス以前の哲学者』です。岩波書店から刊行中の『ソクラテス以前哲学者断片集』のおともにいかがでしょうか。


★ラプラス『確率の哲学的試論』(岩波文庫青)

知のコンサバ(笑)、岩波文庫が繰り出す11月の新刊から。ラプラス先生のありがたい論文です。これを刮目せずしてなにを刮目するというのか(いやいや、なにもない)?


★柄谷行人編『近代日本の批評U 昭和編下』(講談社文芸文庫)

その道のプロ4人による読書会議事録。雑誌季刊思潮掲載後、福武書店から出て、しばらく品切れになっていた本です。今回は全4冊のうちの2冊目。初出の際に読み逃していた小生、先ごろ「ようし、これは講談社文芸文庫に復刻してもらうしかないなっ!」とハナイキも荒くハガキを作成したところ、ちょうど書店の文庫新刊案内で復刻を知り、「おお、念ずれば通ず!」と感激した次第。以来、味をしめていくつかの復刻を念じている毎日です(馬鹿)。





■雑談

めっきり寒くなってまいりましたが、みなさまはいかがお過ごしでしょうか。出不精、寒がりの小生にはウォトカとコートが手放せない季節です。「哲学の激情」第002号をお送りいたします。

先日『群像』12月号(第52巻第12号)をぱらぱらやっていると、「埴谷雄高全集」刊行の広告にであいました(お手元にある方は107頁をご参照ください)。出るぞ、出るわよ、とはいわれていた矢先、河出書房新社が復刻した著作集(けっこうあざといと思いませんでしたか?)や古書店で見つけた同著作集、それに昔読んだ『闇の中の黒い馬』『影絵の時代』の新しい版などなどを買いたくなるのも我慢していた甲斐があったなあよしよし、と思いつつ眺めると、全19巻各7800円(ただし『死霊』を全1冊におさめた第3巻のみは8800円)とあるじゃあありませんか(どうせここ(哲学の劇場)だけでも2セットはカタイのですから、そこのところを汲んでもう一寸お安くなりませんか?>講談社さん、とネットの闇にむかってつぶやく)。どうも作家の全集というものは、亡くなった年齢に比例して価格が決まるのじゃないかと……いえ冗談です。とはいえ、出版社の思うツボにそうと知りつつはまる小生程度の買書道楽は、被害といってもせいぜいなけなしの埃と引き換えに入手した立方体がまさにそれだけ部屋の居住空間をふさぐくらいなもの。そこへもってくるというと、カイジン・アラマタ氏の場合はスケールというものが違いますな。『稀書自慢 紙の極楽』(中公文庫)や最近文庫本として体裁を改めた『ブックスライフ自由自在』(集英社文庫)を開けば一読三嘆とはこのこと。「ああ、ぼくはアラマタさんでなくってよかった」と羨みつつ安心するこの気持ち。

雑談という言葉に甘えてつい、思っていることをしゃべりました。みなさま、お風邪など召しませぬようおからだに気をつけてください。ではまた、ご機嫌よう左様なら。

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発行 哲学の劇場
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Copyright(C)1997, Theatre of Philosophy.
Yakumo Izuru and Hiroshi Yoshida all rights reserved.
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